たまりば

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2015年04月12日

ICUの泰山荘>四次元遊びで深い三鷹物語を感じる、

三鷹に35年住んでいます。
住んでいて、つまらない所だなあ、と思うか、興味シンシンで
愛着が益々!となるか。この違いは大きいよね。

私は今、俄然、興味シンシンなのです。
何故って?、
ICU正門
長く住みながら、知らなかったこの町の偉大な歴史を知ったから
です。先週の日曜に仲間と大沢の国際基督教大学(ICU)で花見
をしました。

そこで私が「三鷹市の西端が構内にあるので行ってみたい」と
言い出したので、卒業生の仲間が、散歩を一緒してくれました。

泰山荘の門・内側からその途中に「泰山荘」の茶室
(外観だけ)を見たのです。

武蔵野の大自然をそのまま残
したキャンパスの森の奥に、日
本家屋と本格茶室があり保存・
利用されているのです。

この泰山荘・高風居という歴史
保存物とICUの本館が、案内の
Yさん、Aさんから「旧中島飛行
機のものをICUが譲り受けたも
の」と聞いて

帰宅後、ネットで調べました。

そして驚き、すっかりハマリました。
この茶室内にある、「一畳敷」というユニークな書斎の物語です。

江戸時代の末期に、稀代の探険家がいました。全国を歩き特に、
北海道・樺太・千島のアイヌの生活を実際に研究し、「北海道」の
命名者でもある松浦武四郎が、引退してから明治19年に作った
書斎です。

猛烈なこだわり(遊び?)人間の松浦は、全国の知人から古い木
材を、なんと91件も送ってもらい、それを記録したうえで書斎を
作りました。1400年前の木片も使われていますので、書斎・一畳
敷は大変な文化財
なのです。

その「一畳敷」は松浦の自宅(神田五軒町)にあったのを、火災
にあうといけないと、徳川頼倫(徳川家の当主)が自分の私設図
書館・南葵文庫(東京・麻布区)に引き取ります。

お陰で関東大震災で神田の松浦家は消失しましたが「一畳敷」
は残りました。しかし、帝国大学図書館の消失の復興のために
南葵文庫は書籍が吸収されることになり、閉鎖。一畳敷は1924
年に代々木の徳川家の自宅へ移築され、さらには徳川家の経
営難から売却されるのです。
高風居
高風居裏(写真上:高風居。写真左:高風居裏手)

購入したのが、日本産業の社主・
山田敬亮。三鷹の大沢に茶室
を作る計画に組入れ、1936年
一畳敷を内蔵した茶室・「高風居」
が作られました。

ここは野川のわさび田もある趣き
ある森の中。崖の中腹で富士山を
眺める絶好の、大茶会という社交
のロケーションでした。
(当時は樹がなく富士が見えた)
当時は樹がなく、絶景の富士が見えた。
書院

しかし、1941年に大戦が勃発し社交をする時代でなくなり、山田
はこの施設土地を、飛行機産業の雄・中島飛行機に売却します。

中島飛行機の社主・中島知久平は、この地に航空機研究本部を
建設し、書院他を自宅に活用するのです。中島の構想は広大な
もので、民間での航空産業の技術開発だけでなく、文化、政治・
社会を含めた研究所を構想しました。
ICU本館
(写真:ICU本館=旧中島飛行機研究所本部)

1945年の敗戦で、この構想は破れ、施設は米軍の管理になりま
したが、現れたのが戦後の復興を、キリスト教・国際感覚の総合
大学設置を構想する湯浅八郎です。

同志社の総長からアメリカに渡り、戦時中の日本人を励ました宣
教師の湯浅は再度、同志社の総長に迎えられ戦後の復興に
活躍するなかで、国際基督教大学の設立発起人になります。

連合軍司令官のマッカーサーを名誉総裁、皇族を総裁にし、日銀
総裁が資金調達をする形でICUが誕生し、中島飛行機の敷地施
設をキャンパスとします。さらに加えて、農学部を持つ総合大学の
構想を持ち、広大な牧場を経営した。(農学部、牧場の構想は挫折
し、ゴルフ場に転用されそれが今の都・野川公園になっています)

ICUは一畳敷のある高風居、書院などをお茶会や会合に活用し、
改築することなく保存をしています。歴史の証拠を残す、すばらし
いことです。

市民にとって地域とは、地図上では2次元の平面です。
そこを私たちが歩き、人と会い、行動すれば3次元の世界です。
それに加えて、4次元の世界、時間軸を渡る発想があります。

・松浦武四郎という大探検家が、愛着をこめ作った書斎・一畳敷
その数奇な勃興と挫折の運命と人物が続く。
・明治の私設図書館を運営した徳川頼倫、
・東京の茶会社交界を目指した趣味人山田敬亮夫妻
・文理一体の大航空産業を構想した中島知久平
・国際化とリベラルアートの大学を実現した湯浅八郎
それが、今のICUに続いています。

三鷹という東京郊外の環境のよい土地柄が、そういう運命にある
のです。
これから、大学・ICUが何をし、市民と時代とどう関わるか。

ICUの桜並木は、観桜の名所であるだけでなく、何か雄大な
物語を、この地に感じさせます。



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